• 8月 3, 2024
  • 8月 18, 2024

熱性けいれん(ひきつけ)てどういうもの?熱性けいれんで気を付けることを教えてください!

奈良県大和郡山市に小児科開業予定「まつい赤ちゃんキッズクリニック」院長の松井潤です。

今回は熱性けいれんのお話し第1弾です。子どもが熱性けいれんしたらどうするか、気を付けるべき熱性けいれんとは何かを書きます。

早速ですが要点をまとめると、

  • 熱性けいれんは良性疾患です。
  • 子どもがけいれんしたら、まずは安全な場所に移動する→横向きに寝かせる→(救急要請をする)→全身を動画で撮る。
  • 気を付けるべき熱性けいれんは、5分以上続くけいれん・部分的な要素がある(半身のみのけいれんやボーっとするだけなど)・24時間以内に2回以上けいれんする時です。

私自身が幼少時には2回熱性けいれんをしていますし、私の子どももけいれんしたことがあります。なので親として我が子のけいれんを見たくない気持ちはとってもよく分かります。ただ今日はその気持ちを抑えて、医学的なことをお話しします。

まずは私も子どももその後は元気にしていますので、「熱性けいれんであれば」後遺症もない良性疾患なのです。けいれんも発熱、咳、鼻水と同じ風邪の症状の1つと考えても良いわけです。じゃあけいれんしても放っておいて良いですか?と言われると決してそうではなく、熱性けいれんと区別しないといけない疾患は「髄膜炎・脳炎・脳症(=中枢神経感染症)」になります。

熱性けいれんと中枢神経感染症のどちらかは経過をみないと分からないことも多いですが、5分以上続くけいれんや24時間以内に2回以上けいれんすることがあれば、必ず医療機関を受診してください。長く続くけいれんや短い期間で何回もけいれんしたら、きっと良くないけいれんだというのはご理解頂きやすいかと思います。またけいれんは全身震えたほうが熱性けいれんっぽいわけで、むしろ左半身や右半身のみがけいれんする方が良くないのです。左脳が右半身、右脳が左半身を制御しているように、体の一部だけけいれんすると脳の一部に病気がある可能性が高くなるからです。

余談になりますが、熱性けいれんは発熱後6時間~24時間くらいで起こす場合が多いです。子どもが熱のある間ずっとけいれんが心配でドキドキする必要はなくて、基本的には発熱後丸1日くらいけいれんしなければ、熱性けいれんは起きないと考えても大丈夫です。逆に発熱3日後にけいれんしたとかあれば、それは熱性けいれんではない可能性があるので必ず医療機関に相談するようにしてください。

子どもがけいれんすると家族はとても慌てます。家族もパニックになるので、とりあえずは唾液を誤嚥しないように、子どもを横向きに寝かすことを思い出してください。舌を噛み切るとかはないので、口の中にタオルを入れたり指を入れたり絶対にしないでください。かえって窒息や誤嚥のリスクになり危ないです。通常は何もしなくてもけいれんは5分以内に改善します(親としてはこの数分がもの凄く長く感じますが)。

色々な事情で救急要請には賛否ありますが、個人的には子どもがけいれんしたら救急要請をしたら良いかと思います。ほとんどのけいれんが5分以内に止まると言っても、けいれんし始めにはどれくらいの時間でけいれんが止まるかは誰にも分からないですし、医療者が来てくれると思えば家族も安心して、落ち着いた行動が取りやすいからです。救急車が着く頃にはけいれんが止まっていて、病院に着いて直ぐに帰宅になっても、子どもが無事で良かったと皆で思えたら良いかと考えています。

最後に動画を撮る理由としては、先ほど述べた部分的な要素が一目で分かることや意外とけいれんではなくて寒気の時が多いからです。百聞は一見に如かずと言うように、何でも気になる症状があれば動画を撮って頂ければ、医療者としても対応しやすいです。

今回は熱性けいれんのお話し第1段でした。次回は熱性けいれんの治療薬やてんかんの話しをしたいと思っています。

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