• 8月 18, 2024

熱性けいれんの治療法について考えます。けいれん止めの座薬を使用するなら、けいれん前に使いましょう!

奈良県大和郡山市に小児科開業予定「まつい赤ちゃんキッズクリニック」院長の松井潤です。

今回も熱性けいれんのお話しで第3弾です。今回は治療法について考えたいと思います。

自分自身の経験からも親として、熱性けいれんが怖くて仕方がないという気持ちも分かります。ただ医学的には熱性けいれんは良性疾患という考えがベースにあります。

今回の要点ですが、

①熱性けいれんはほとんどが数分で自然に改善します。

②ジアゼパム座薬(ダイアップ®)はけいれんの予防薬です。

③熱が上がる時に熱性けいれんが起きやすいという証拠はなく、熱が高くてしんどい時は解熱薬を使っても大丈夫です。

熱性けいれんはそのほとんどが数分で自然に改善します。薬も使わずに治るということです。熱性けいれんを見ると慌てますが、まずは安全な場所に移動する→横向きに寝かせる→(救急要請をする)→全身を動画で撮る(:第1弾の内容です)を行うようにしてください。

では一般的に治療薬と言われているダイアップ座薬をいつ使うかというと、この座薬の効果は使用してから20分程度かかるので、けいれんしてから使用してもあまり意味はありません。ダイアップ座薬を使ってけいれんが直ぐに止まったという話しも聞きますが、「おそらく座薬を使わなくてもけいれんは改善していた」と考えることになります。ダイアップ座薬はけいれん予防には有用な薬剤ですので、発熱したらけいれんする前に使うというのが正しい使用方法です。けいれんしてから座薬を使用するのでは遅いのです。

ではどのようなお子さんにダイアップ座薬による熱性けいれん予防を推奨するのでしょうか。ここで重要なのは副作用で、眠気が強く出てしまうことがあります。眠気によりふらつき転倒する、眠気により髄膜炎や脳炎脳症を見逃すリスクがあるということです。脳波を使えば眠気なのか髄膜炎・脳炎脳症なのか判断は出来ることがありますが、見た目の診察だけでは難しい時があります。1回目の熱性けいれんが15分以上続くなどがあれば積極的に座薬によるけいれん予防を推奨しますが、その他の場合はご家族とも相談しながら処方をします。熱性けいれんを見るのが嫌な気持ちもとても分かります。悩まれているご家族の方は一緒に考えますので一度ご相談ください。

少し話しは変わりますが、熱性けいれんが心配だから解熱薬(熱を下げる座薬など)を使わない方がいらっしゃいます。これは医学的な根拠はありませんし、むしろ熱を下げた方がけいれんしにくかったというデータもあります。このため子どもが発熱で辛そうにしていれば、解熱薬を使っても問題ありませんのでご安心ください。

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