- 9月 22, 2024
風邪を見るときに何に注意しているかお話しします。子どもにとってより適切な治療を提案したいです。
奈良県大和郡山市に小児科開業予定「まつい赤ちゃんキッズクリニック」院長の松井潤です。
今回は感染症(風邪)の説明をしたいと思います。早速ですが熱や咳などのお子さんを見た場合に、私自身は大きく2つ考えることがあります。
①1つ目は原因がウイルス感染か細菌感染か。
②2つ目はウイルスや細菌がどこの部位に悪さをしているか。
を考えるようにしています。この2つを考える理由としては、適切な治療法が違ってくるからです。
インフルエンザウイルスやアデノウイルスは名前の通りウイルス性疾患になります。一般的に風邪と言われるものもこちらに含まれますし、手足口病やヘルパンギーナもウイルス性疾患です。細菌感染の代表的なものは溶連菌感染になりますが、どこかに膿が溜まっているなども細菌が悪さをしています。2つ同時にかかるような場合もありますが、分けて考える理由は抗生剤を使うかどうかの判断になるからです。抗生剤は細菌感染には効果がありますが、ウイルス感染には無効になります。これら2つを適切に診断して治療を選択したいと考えています。
次にどこの部位が悪いかを考えるのは簡単なように聞こえますが、小児科の場合はしっかり見てあげないといけないと分かりません。例えば嘔吐していても、胃腸風邪の場合もあれば、咳込んで嘔吐する時もあるからです。咳き込み嘔吐のお子さんに、整腸剤を処方しても効果がありませんよね。咳や鼻汁でも同様に色々な可能性があり、大事なことは言葉だけで直ぐに判断せずに、その子どもをしっかり診察して病態を理解することだと思います。私なりの結論を出して、ご家族に理由を説明して薬の処方をするように心がけています。
この2つの考えを組み合わせると、胃腸風邪でもウイルス性胃腸炎(ノロウイルスなどが原因)や細菌性胃腸炎(いわゆる食中毒など)といったように分けて考えることが出来ます。気管支炎、肺炎、胃腸炎といった診断はどの部位が悪くなっているかということであり、その原因はウイルスもあれば細菌もありますよということです。
外来をしているとご家族から他の子どもにうつりますかと聞かれることがあります。結論的に言うと「何でも」うつる可能性はあります。風邪でも肺炎でも、原因はウイルスか細菌なので、診断に関わらず他の方にもうつる可能性があるからです。各ウイルスや細菌によってうつりやすさや注意しないといけない期間は違うので、原因が分かれば一緒にお話しするようにしています。
子どもが熱など風邪をひくと、子ども自身もご家族も不安な気持ちになります。適切に診断することで見通しがたち、少しでも安心して頂き、早くに良くなるようにしていきたいと思っています。