- 7月 19, 2025
- 7月 31, 2025
乳児湿疹について解説!助産師さんとの外来も行っています。
奈良県大和郡山市近鉄九条駅前の小児科「まつい赤ちゃんキッズクリニック」院長の松井潤です。
今回は乳児湿疹について書こうと思います。
要点は、
①1歳までの赤ちゃんに発疹が出たら、まずは医療機関にご相談ください。
②当院では乳児湿疹の治療ゴールを設定して、ご家族と一緒に治療します。
③お風呂あがりにしっかりと塗る!をまずは目標にしてください。
④当院では助産師さんとの育児指導外来も行っています。皮膚だけでなく、母乳やミルク、体重や発達、睡眠など気になる事があればご相談ください!
当たり前ですがセミが鳴いて夏になったなぁと最近思っています。私はセミが飛んでくるとビビっていますが、セミの声を聴く夏の朝は、子どもの頃の夏休みを思い出して好きです。
さて今回は乳児湿疹について書きます。赤ちゃんはとっても可愛いですよね!年齢のためか、昔より赤ちゃんを見るとより幸せな気持ちになりますし、患者さんから赤ちゃんが生まれたと聞くだけで我が事のように嬉しくなります。
その分、ご家族が赤ちゃんの皮膚で悩んでいるところを見ると、是非何とかしなければと思います。
実は乳児湿疹は赤ちゃんの皮膚トラブルのような総称のようなもので正しい病名ではないのです。乳児湿疹の中に、脂漏性湿疹やアトピー性皮膚炎などいっぱい疾患がありますが、治療方法は特に変わりないので、このような表現になることが多いです。このため究極は、あまりアトピー性皮膚炎かどうかは気にしなくも最初は大丈夫です!
乳児湿疹のほとんどは自然軽快しますが、10%程度の症例が難治に経過したり、食物アレルギーに繋がるとされています。親御さんから赤ちゃんの皮膚トラブルがあると「アレルギーでしょうか?」とよく聞かれますが、考え方は逆で、「アレルギー予防のためにまずは皮膚を良くしましょう」とお答えするようにしています。
なので、赤ちゃんの皮膚トラブルはほとんどが良くなるでしょうと考えずに、アレルギーが出現する前が治療時!と考えて相談して欲しいと思っています。
当院では乳児湿疹の治療方法もいくつか選択肢があるので、来院されたらまずはご家族と相談するように心がけています。ただどの治療も共通して言えることは、治療のステージを分けることが大切です。
1つ目のステージは「寛解期」:これは赤みやかゆみのある発疹を治療する時期です。意外とこの時期は早く終わることが多いです。
2つ目のステージは「維持期」:これは一度改善した皮膚が、再度発疹が出てこないように抑え込んでおく治療です。この維持期を適切に行うことが治療のコツですが、マラソンのように少し長めに治療する必要があるので、親御さんに伴走するようにどの治療が生活リズムに合うかも考えます。
つまりステロイド薬を処方して終わりではなく、どのように維持するか(非ステロイド性軟膏や保湿剤の使い方)、どのくらいの量を塗るのか(1週間でどれくらいお薬を使うのか)がとても大切で、外来で説明するようにしています。お薬を塗っているけど上手くいかないという方は是非ご相談ください。
治療する時にいつも考えていることですが、「医療者が薬を塗って」というのはとても簡単ですよね。でも実際にお薬を塗って治療をしているのは親御さんやご家族です。子育てなど忙しい中でお薬を塗って頂くことに心から感謝していますし、頭が下がる思いです。
このため私に出来ることはなるべく分かりやすく、お家で親御さんが判断に迷わないように説明することだと考えています。治療のコツもいくつかあるのですが、1日何回もお薬を塗るのは現実的には大変ですので、絶対にお風呂上りだけで良いのでしっかり塗布してくださいと説明します。「お風呂上りにベチャっと塗る」をキーワードでお願いします。
最後に当院では助産師さんとの育児相談外来を行っています。Web予約からも予約が取れますし、予約方法などご不明な点があれば電話やホームページからのお問合せ欄からメール頂いても大丈夫です。育児は私個人のみでは十分にお答えすることが難しいことも多いです。男女で分ける時代ではないのですが、それでもお母さんのお悩みは助産師さんの方が話しやすく、相談しやすいのも事実かと思います。助産師さんとの相談の後に、私が必ず診察して医療的な見落としなどもないか一緒に協力して外来をしております。ご興味があれば当院にまずはお越しください。