- 8月 11, 2025
赤ちゃんの出べそ(臍ヘルニア)について。一緒に治療法を考えましょう!
奈良県大和郡山市近鉄九条駅前の小児科「まつい赤ちゃんキッズクリニック」院長の松井潤です。
今回は出べそ(臍ヘルニア)について書こうと思います。
要点は、
①臍ヘルニアは誰でも起こりえます。
②約80~90%が自然治癒されると言われていますが、圧迫療法を行う方が早くに治ることが認められています。
③当院では助産師さんとの育児指導外来も行っています。出べそだけでなく、母乳やミルク、体重や発達、睡眠など気になる事があればご相談ください!
臍ヘルニアは誰でも起こる可能性があります。むしろしっかりおっぱいやミルクを飲んでいている元気なお子さんの方がなりやすい印象もあります。
ご存知のように、子どもはお母さんのお腹の中では臍の緒で胎盤に繋がっています。生まれた後は、臍の緒がとれてお臍が出来上がります。しかしお臍が完全に出来上がるまでは小さな穴が開いている状況なので、強い腹圧がかかればお臍の突出が起きてしまいます。これが臍ヘルニアです。
怖いように聞こえるかもしれませんが、出べその中身は腸管なのでミルクや空気などのぐちゅぐちゅした感覚があると思います。万一、出べそが真っ赤になり頻回に嘔吐(嵌頓と言います)があれば必ず医療機関にご相談ください。しかし現実的には臍ヘルニアが嵌頓などの病的なことを起こすことは極めて稀で、ほとんどが美容的にどうするかが問題になることが多いです。
臍ヘルニアの治癒率は1年で約80%、2年で90%が自然軽快するとされています。じゃあ放っておいても良いかというと、大きな出べそがあると閉鎖しても伸びた皮膚が余ったような感じ(太った方が急激にダイエットした後のようなイメージです)になり、しわが出来てしまい美容的に気になってしまうことがあります。
将来その余った皮膚を外科的に処置することも出来ますが、赤ちゃんの頃から綿球でお臍を圧迫していると綺麗に治る可能性が高くなります。この方法は出ているお臍を綿球で圧迫して、上から防水フィルムで保護しておく処置になります。この処置の注意点は①しっかり圧迫しないとあまり意味がないこと、②防水フィルムの下の皮膚が赤くかぶれてしまうことがあることです。
このため当院では臍ヘルニア全例に綿球圧迫することはなく、そもそも綿球圧迫した方が良さそうかどうかまず判断するようにしています。また綿球圧迫治療することになっても放置するようなことはなく、医療者により適切に綿球圧迫して、皮膚トラブルの注意をご家族にしっかり説明しております。
臍ヘルニアは早めに治療すると1か月くらいで良くなることも多いですが、一方で生後6か月を過ぎると治療効果が落ちることも報告されています。気になればまずは早めにご相談して頂ければと思います。
最後に当院では助産師さんとの育児相談外来を行っています。子育てをしていると臍ヘルニア以外にも気になることが色々出てきます。この育児相談外来は時間をゆっくり設け、ご家族の疑問点や気になることに寄り添いながら、一緒にお子さんの成長をサポートしていく外来です。Web予約からも予約が取れますし、予約方法などご不明な点があれば電話やホームページからのお問合せ欄からメール頂いても大丈夫です。育児は私個人のみでは十分にお答えすることが難しいことも多いです。男女で分ける時代ではないのですが、それでもお母さんのお悩みは助産師さんの方が話しやすく、相談しやすいのも事実かと思います。助産師さんとの相談の後に、私が必ず診察して医療的な見落としなどもないか一緒に協力して外来をしております。ご興味があれば当院にまずはお越しください。