- 9月 1, 2024
はじめての離乳食はドキドキ。あらかじめの血液検査は意味がないので、まずはご相談ください。
奈良県大和郡山市に小児科開業予定「まつい赤ちゃんキッズクリニック」院長の松井潤です。
赤ちゃんの時の離乳食はドキドキしますよね。美味しそうに食べてくれるととても嬉しいですが、全然興味がなくて、離乳食をぐちゃぐちゃにされてしまうこともあります。そんな中、食べた後に発疹が出てきたり吐いてしまったりなどアレルギー症状があると、やっぱり落ち込んでしまいます。なので、今回は食物アレルギーについて書きます。
要点をまとめると、
①食物アレルギーも色々なタイプがあります。
②血液検査は決して万能ではなく、アレルギーを予測できるものではありません。
③食物アレルギーは治らないものばかりではありません。今後どうしていくかが一番大切です。
食物アレルギーかなと思われても決めつけずに、必ず医療機関に相談してもらうことが大切です。子どもにとって成長することは重要で、不必要な除去は避けてあげたいからです。例えば典型的な食物アレルギーは、原因食物摂取後30分~1時間以内くらいに蕁麻疹が出てくることが多いです。朝ご飯を食べて、昼過ぎや夕方に発疹が出た場合は朝ごはんが原因とは考えにくいということです。またこれとは別に嘔吐のみの症状のアレルギーがあります。これは消化管アレルギーといって乳児期に多く、食物摂取後数時間してから嘔吐が始まるといった疾患です。
このように一言に食物アレルギーと言っても色々なタイプがあるので、アレルギーの診断は医療機関できちんと相談してもらうことが大切です。また乳児消化管アレルギーは血液検査では異常が出ませんので、血液検査も万能ではありません。血液検査で陽性に出ても食べられる時は多くありますし、陰性でもアレルギー症状が出ることもあります。要はあらかじめアレルギーの血液検査をしておくことは意味がないので、医療機関で推奨することはほぼないかと思います。
じゃあ初めての食事はどうするかと言うと、アレルギーは基本的には摂取量に依りますので、どれでも初めは少量ずつ摂取してもらうということになります。またアレルギー予防の点からは皮膚をきれいにしておくことはとても重要なので、少しでもリスクを減らすためにも皮膚トラブルがあれば早めにご相談して頂けると助かります。 食物アレルギーは治らないものばかりではありません。例えば卵アレルギーは6歳までには約60%が食べられるようになると言われています。しかし6歳まで卵を完全除去するのは食事の幅も狭くなりますし大変です。そこで経口負荷試験というものを行い、どこまで食べられるかを検討する方法があります。全卵1個はだいたい40g程度で、あくまで目安ですが卵白5g(1/8個)を食べられるとコロッケや中華麺、からあげなどは食べられます。このようにどこまで食べても大丈夫かをしっかり把握しておくことが大切で、不必要な食品の除去を避けられます。外来ではどの時期に経口負荷試験をするか、どのように制限していた食べ物を解除するかなどを検討します。たとえ食物アレルギーと診断されても不安にならないでください。一緒に楽しい食事が出来るように考えていきましょう。