- 10月 6, 2024
発達症について。気になることがあれば、発達症のことをきちんと理解している方に相談するようにしてください。
奈良県大和郡山市に小児科開業予定「まつい赤ちゃんキッズクリニック」院長の松井潤です。
今回は神経発達症のお話しを書きたいと思います。最近は世間的にも注目されている分野ですし、今後概念としても変わってくる可能性があるので、あくまで現時点でのお話しです。
要点をまとめると、
①神経発達症には自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、限局性学習症(SLD)などが含まれます。
②これらはあくまで特性であり、疾患の有無など線引きできるものではありません。
③検査は特徴を知る目安でしかなく、検査によって診断がつくわけではありません。
神経発達症には自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、限局性学習症(SLD)などが含まれます。例えば自閉スペクトラム症(以前のアスペルガーはここに含まれます)の中核症状は、コミュニケーションの質的な障害あること・常同行動(行動や興味、または活動の限定された反復的な様式があること)とされています。
難しいですよね。ただ分かって欲しいのは、言葉を話さないとか目が合わないとか、そういうことだけで診断するのではないということです。
特性の現れ方は人それぞれで、自閉スペクトラム症でも話し言葉がない場合からとても流暢に話すけれど会話が双方向的に展開されない場合もあります。目と目が合わない場合から、目は合うけど相手の表情から考えていることを読み取れない場合など様々です。
親として発達症が心配で調べれば調べるほど、我が子に当てはまる部分も多かったりするものです。
私は実は全く泳げませんし工作がとても苦手です。調子に乗って、冗談が過ぎて人を怒らせてしまうことがあります。これらを単語として「不器用」「空気が読めない」と入力して調べると、発達症が真っ先に出てきます。言われてみればきっと皆さんもそういう節があるかと思います。大事なことは発達症はあるなしのように線引き出来るものではないということをこちらが理解しておくことです。キャラの濃い薄いのように、発達症は強い弱いという考え方の方が適切です。
ただし発達特性によっては、生活や発達過程の困りごとの要因となります。あくまで人の持つ多様性(個性)の1つでもあるので、特性に合わせた育ち方、学び方の工夫や支援を行うことが大切です。「出来ない」ではなく「やり方が違う」と捉え直し、その人らしい「やり方」を模索します。
現実的にこの模索をしている時に迷ってしまうことがあります。その時に活用するのが検査です。あくまで一側面で参考ですが、この人の得手不得手は何だろうと理解する手助けに検査を使うのです。決して診断のみや通知表のようには利用しないで欲しいと思います。大切なことは、検査はお互いをよく知って理解していくためのツールに過ぎないということです。
発達症の外来では家族や本人の希望を必ず聞くようにしています。受診する時には困りごとがあるのだと思いますが、診断希望の方、対処方法のみ知りたい方、基礎疾患などの原因検索がしたい方など希望はそれぞれ違います。診断をこちらから押し付けるようなことはしませんので、困りごとに対して医療を利用しながら一緒に模索していきたいと思います。