熱性けいれんとは

熱性けいれんは生後6ヶ月から6歳くらいまでの子どもで、風邪などの発熱がある時にけいれん発作が起こります。日本では5~10%の子どもが経験するので、「熱性けいれんであれば」良好な疾患で特に後遺症もありません。発熱とけいれんがあった場合に熱性けいれんと区別(鑑別)すべき疾患として、髄膜炎・脳炎脳症といった疾患があります。これらは中枢神経感染症と言われ適切な治療が必要ですので、発熱時にけいれんした場合は、ご自宅で熱性けいれんと決めつけずに医療機関にご相談頂ければ安心です。
通常は成長するにつれ、熱性けいれんを発症する回数は少なくなっていきます。発熱が無くてもけいれんを起こすようであれば、てんかんなど他の病気が疑われます。当院では小児神経専門医・てんかん専門医の院長が診療にあたり、必要であれば脳波検査なども行うことが出来ます。
熱性けいれんが起きた時は
熱性けいれんは、通常、発熱後6時間~24時間以内にけいれんを起こすことが特徴です。けいれんは左右対称に起こり、2~3分ほどで改善します(20~30分と長く続くこともあり、「けいれん重積」と呼ばれます)。
子どもがけいれんした時は①安全な場所を確保する、②衣服を緩め横に向けて寝かせる、③けいれんの持続時間を測定(可能であれば全身が映るようにスマホで動画撮影)、を行って頂き、けいれんが5分以上続く・顔色が悪い・けいれんが治まっても意識が戻らないなどがあれば救急要請をしてください。
舌を噛んだとしても大事に至ることはないので、口の中にタオルや手を入れるといったことは絶対にしないでください。窒息や誤嚥のリスクになりかえって危険です。
熱性けいれんの治療
医療機関に到着した時にまだけいれんが続いている場合は、抗けいれん薬を投与します。けいれんが治まっていれば、熱性けいれんに関してはとくに治療の必要はありません。必要に応じて発熱の原因となっている疾患の治療や症状の改善を行います。
現在の日本の治療指針(ガイドラインといいます)では、熱性けいれんを起こした子ども全例へのけいれん予防薬(ダイアップ®など)は推奨されていません。当院ではガイドラインに沿って、けいれんの予防投与を行った方がよい子どもは誰か、予防投与を行っていた子どもの薬剤中止時期などご提案させて頂きます。複数回の熱性けいれんがあり今後について悩んでいる方もおられるかと思います。しっかりと説明した上で、ご家族とともに治療方針を決定しますので、まずはご相談頂ければと思います。