赤ちゃんによく見られる
皮膚トラブル
乳児湿疹
赤ちゃんの肌はまだまだ未熟な部分も多く、トラブルが起きやすい時期でもあります。生後間もなくは、赤いポツポツした発疹しかなかったのに、カサカサしてきたり、黄色いかさぶたのようなものが出てきたりする時もあります。場所も最初はお顔だけだったのに、次第に体や手足の関節面に皮膚トラブルが出現する時も多いかと思います。
赤ちゃんの皮膚は大半はきれいに治りますが、最近は皮膚から原因（アレルゲン）が侵入する経皮感作によって発症すると食物アレルギーが起こるとされています。このため、赤ちゃんの皮膚は治るだろうからと経過を見るのではなく、むしろアレルギー予防のために早期からすべすべなお肌に向けて治療することが大切です。どのお薬を使用するかなど、まずはご家族にご提案させて頂いてから治療を開始していこうと思います。
おむつかぶれ
おむつかぶれは長時間おむつを使用することによって臀部や外陰部などが蒸れて、皮膚に炎症が現れるものです。接触性皮膚炎の一種で、おむつ皮膚炎とも呼ばれます。やわらかいうんちは便秘と違い気持ちよく出せるもので悪いことばかりではありませんが、おむつかぶれには注意が必要になります。おむつかぶれはヒリヒリとした痛みがあり、おしりを拭いた時やお風呂でお湯をかけたときなどに激しく泣いたりするので早めに治療してあげたいです。稀におむつかぶれだと思っていたら真菌感染（カンジタ性皮膚炎）などのことがあるので、一度実際に見させて頂けると安心です。
あせも（汗疹）
あせもとは汗が皮膚内に溜まって炎症を起こす疾患で「汗疹」とも呼ばれます。汗をかくことが増える暑い時期に発症しやすく、とくに乳幼児は未発達なため、発症する頻度が高くなっています。あせもの症状としては、かゆみのある赤い丘疹（盛り上がった1cm未満の発疹）がみられます。発症する場所としては、首や背中、脇の下、股関節周辺などが多くなっています。これらは皮膚の摩擦が生じやすい場所です。あせものかゆみのため皮膚を搔いてしまい、そこに細菌が感染すると、とびひに進展してしまう場合もありますので注意が必要です。
あせもが悪化してしまった場合には、ステロイド軟膏による治療などを行いますが、とびひにステロイド軟膏を使用すると逆に悪化してしまいます。とびひには抗菌薬を使用し治療します。
よだれかぶれ
赤ちゃんの肌は皮脂の分泌量や水分保持力などが少ないなどバリア機能が未成熟のため、外からの刺激によって炎症を起こしやすくなっていますが、「よだれ」もその原因になります。赤ちゃんのよだれは、哺乳量が増えてくる生後2か月くらいや、歯が生え始める前の生後6ヶ月くらいから多くなります。しっかり哺乳や離乳食が食べられているようであれば、よだれが多いこと自体に大きな心配はありませんが、皮膚トラブルには注意が必要です。
普段からこまめによだれを優しく拭き取り、口の周りを洗う際はゴシゴシと擦らず、ガーゼなどを濡らして優しくぬぐうようにしましょう。汚れを落とす際に、皮脂も落としてしまっている場合もありますので、口の周りを拭いた後は保湿することも大切です。ベビー用ワセリンなどの保湿剤を塗っておくようにするのも良いかと思います。炎症が進んでいる場合はステロイドの塗り薬を使用します。赤ちゃんにとって、よだれが増えることは成長の証拠とも言えますので、一緒に見守っていければ嬉しいです。
ただし、赤ちゃんの皮膚トラブルは、アレルギーが原因となっている場合もありますので、気になる症状がありましたら、お気軽にご受診ください。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴った赤みやぶつぶつなど湿疹の症状が出て、よくなったり悪くなったりを慢性的に繰り返します。アトピー性皮膚炎は正しい外用薬の使い方やスキンケアをすると改善する場合も多いですが、中々よくならなかったり、一時的に改善しても直ぐに悪くなったりするので前向きな気持ちになれないこともあります。特に子どもの場合はお薬を塗って頂くのはご家族であることが多く、当院ではお薬を処方して終わりではなく、一緒に治療していく気持ちが重要であると考えています。
まずは子どもやご家族と治療目標を共有し、目標達成のためにはどのように治療していくのが適しているかを考えていこうと思います。治療は発疹が消失すると終わりではなく維持することも大切ですので、長いお付き合いになることもありますが、その時々に応じた治療を一緒に行っていきます。「治らないのに治療しても仕方がない」と諦めるのではなく、お悩みのことがあればお気軽にご相談ください。
